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奉納相撲 【1】

先日テレビでちびっこ相撲全国大会なるものが放送されていました。ちびっこ(小学生)とは言えさすが全国大会に出てくるだけあって小学性とは思えない立派な体格、洗練された取りクチ!
ちょうどこの時期という事もあり、子供の頃を思い出しました。この全国大会に出て来る子と比べたら所詮お遊びの延長ですが、小学生の間は8月入ると毎日地元の神社の境内で相撲の稽古がありました。

今回はその奉納相撲について。
日本の国技である相撲。スポーツと言うにはまわし、ちょんまげ、脇刺しを差した行司、清めに撒く塩などなかなか文化としてエグミのある要素が満載で重々しい感じがします。

都道府県別にいうと都会になってしまいますが、生まれた所は完全に田舎です。在所育ちにはそれなり良さがあって、夏休みには家の下の川で泳いだり、魚を採ったり、裏山でクワガタを採ったり・・・・。田舎者ならではの貴重な経験です。

それにも増して貴重な経験になるのが近所にある神社の奉納相撲。
9月の最初の日曜日に近くの神社で祭りがあり、そこで小学性による奉納相撲が行われます。この「本番」の為に8月に入ると相撲の稽古というものがあります。
地元では男子の小学生はほぼ全員参加。この稽古をさぼって家族旅行に行ったりするのはあまり格好のよいものではない(なぜかそのような感覚があります)ので、旅行に行くなら7月中に済ませます。
この奉納相撲はかなり歴史があるらしく、鎌倉期(?)の絵馬か何かにも描かれているようです。最近では引退した栃東関が大関に上がるちょっと前にゲストとしてこの奉納相撲に来てくれた事もあるそうです。なかなか本格的でちょっとしたモノです!

神社の境内の敷地にしっかりした土俵があります。その境内に夜な夜な地域の子供たちが上はTシャツ一枚、下はおしり丸出しのまわし一丁(!)、履物はビーチサンダル、手には懐中電灯という「定番スタイル」で集まります。
夕方、Tシャツにふんどしという姿の子供達が町内を闊歩する光景は異様に感じるでしょうが、地元では風物詩的な存在で当たり前の光景です。
元気が有り余っている子は早めに晩飯を済ませ、稽古の始まる時間までふんどし姿で野球をやったりして時間を潰します。

私の地域は小学校まで距離があるので、普通の公立校にもかかわらず電車通学でした。小学1年生がいきなり一人で電車に乗るのが不安なのか、小学校に上がると親が近所のお兄さん(いわゆるガキ大将)に連れって行ってもらえるように頼みに行きます。(この時、自動的に「子分」にされます!!)
そして8月、相撲稽古の時間は夕方6時過ぎから10時くらいだったと思います。さすがに低学年の子がおしり丸出しで夜道を一人で歩いていては具合が悪いので、やはり近所のお兄さんに連れていってもらいます。(この頃にはもう立派な子分です。)

神社の社殿は一段高い所にあり、そこから下がった脇に土俵があります。周りに明かりがないので数多くの裸電球をぶら下げてそれが土俵を照らし出します。いわば裸電球ナイターです。

この裸電球ナイターが趣があってイイのです!!


稽古中に社殿の方に目をやると、裸電球の余光があたって杉の木に囲まれた社殿がぼんやりとではありますが照らし出されます。これがまた何とも荘重といった雰囲気を醸し出しています。日常でない重々しさ、厳かさを感じます。
子供の言葉で言えば、「上の社殿にいる神様に見守られて相撲の稽古をしている感じ」。

割り合い早くにサンタクロースはいない事を知ってしまった私は神様もどうせ眉唾物で、人の心の中にはいるかもしれないが、実際はいないだろうなどと考えているヒネたガキでした。その妙に現実的なヒネたガキの眼から見ても、相撲の稽古が行われている時のこの場所は別!!社殿に全く何もいないとはとても思えない!!そんな雰囲気です。

土俵の周りにはゴザが敷かれ、学年ごとにふんどし一丁でそこに座り、自分の番が来るまで待ちます。
低学年から順に実戦形式で、繰り返し行われます。そして時々指導してくださる相撲の経験のある方が取り組みを止めて「ここはこう取るんだ」などと全員に向かってアドバイスしてくれます。

待っている時間が長いくなりますが、当然おとなしく見ているはずもなく、ゴザの端を毟って点棒を作り一番一番賭けをして盛り上がります。他にも土俵に上がった低学年のまわしが緩んだりしていると、「おいおい、横●ンが見えているぞー」などとヤジを飛ばします。
また飛んでいる蚊を捕まえて、前もって手のひらの乗せ、前の子の背中に思いっきり平手打ち!「おまえ刺されなくてよかったなー、取ってやったよ」などと白々しい事を言ったり。
まあどれもたあいない事ですが、当時は待っている間も非常に楽しい。

夜が少々冷えるとたまに「事件」が起こります。ふんどし一丁でいるので低学年の子が腹を下して・・・・・。このまわしは一人に一つずつしか配られません。翌日の稽古に間に合うように「問題なく」完璧に洗濯しなくてはならないその子の母親はさぞたいへんな事でしょう。

学年ごとに順に二人一組で相撲を取るわけですが、ちょっと問題があります。一人余ってしまうと一つ上の学年の子との取り組みになります。これがなぜ問題かと言うと、上の学年の子は絶対に負けられないからであります。
年を取ってしまうと一つの年の差なんてどうでもいい事ですが、この時期の一つ違いは絶対的なものがあります。小学生ながら妙にメンツというものを持っています。地元に密着した田舎者なのでことさらそうなのでしょうか?
特に自分がガキ大将になり、子分を従えて稽古に通うような立場になると、見ている子分の手前絶対に負けは許されません!!所詮は稽古なので通常は和気あいあいなのですが、この一番に限っては本番以上の本気モードになります。
「空気を読め!」とはあまり好きな言葉ではありませんが、この時だけは一つ下の相手が空気を読んでくれるよう切に願います。幸い負けませんでしたが。


突然ですが、皆さんは相撲を取った事がありますか?

もし機会があれば一度経験してみる事をお勧めします。
他のスポーツもいろいろ経験しましたが、相撲だけは少し違います。ふんどし一丁で体一つで全力でぶつかります。勝負を決めるにあたってふんどし以外何も媒介するモノがありません。
野球ならボール、グローブ、バット、テニスならボール、ラケット、球技は当然何かを仲立ちにします。格闘系でもボクシングならグローブ、剣道なら竹刀、防具。柔道でさえ大きな柔道着を着て帯も締めます。

相撲はふんどし一丁!!全く余計な物を付けずに相手と肌を合わせての力の勝負。純粋に己、一個人としての力のみが反映される勝負!真剣に全力を出し切って取ったのにねじ伏せされて、また技がきれいに決まって負かされると心底相手に「負けた」という気分、本当にぐうの音も出ないほど100%負けた、やられたという気分になります。この気分はちょっと他のスポーツでは味わえないような気がします。

特に土俵際で何とかうっちゃろうと必死に堪えた末に浴びせ倒されるように負けた時は、心から相手に負けた気分になり、悔しさに涙が出ます。体の大きい者に浴びせ倒されると胸が圧迫されしばらく息が出来なくなります。これが結構苦しいもので、これにプラス悔しさやら情けなさやらで土俵下にうずくまりながらいろんな感情がグルグル回ります。

そしてやっと息が出来るようになり、「次は奴には死んでも勝つ!!」と凄いモチベーションと共に起き上がります。おそらく相手に負けた事をこれだけ意識させられないスポーツならここまでのモチベーションは湧かないでしょう。たかがちびっこ相撲で、小学生にここまで意識させてしまうというのは凄い事ではないでしょうか?しかも小学生の時の私はワンパクとは言えそんな激情型でもないですし・・・。
そんなわけで、この純粋に裸一貫の力比べである相撲というスポーツは「究極の個人戦」だと思っています。

普段生活していて、心底相手に負けたと思う事はあまり、というかほとんど無いでしょう。実際負けても言い訳をしてみたり、いいように考えて、たいして負けていないと自分に暗示をかけたり・・・。
おそらく人間の本能が相手に完全に負けたという事実を受け入れる事を拒絶したがるのだと思うのですが、存外力を出し切った末に完全に負けたと思える事はさっぱりとして、時間が経てば気分のいいものです。

さすがに浴びせ倒されて呼吸が出来ずに苦しい思いをさせられてはそういう気分になるかどうかは人によると思いますが(私はとりあえず次にその相手に一度勝つまではならない)、普通に力を出し切って負けたなら、子供心に一種の尊敬の念を抱きます。「ああ、こいつは凄いな」と。

中には抜けて強い子もいますが、稽古をやっていればたまには負けます。まあ勝ったり負けたりが順ぐりに続きます。その度に各々が相手を「やるなー」と思ったりして相手を認めるようになれば仲間内で各々が相手を認めるようになる、つまり地域に住む者の「繋がり」としてはなかなかいいモノになるんじゃないかと思います。
(負けてばっかりの子が出てきてしまう事もありますが、毎日稽古に来て、この神聖な境内での力を出し合って稽古するという事は立派な共有の財産で、たとえ負け続きでもからかう事はあっても、本当の意味で悪口を言う人はいません。なかなか勝てなくても参加し続ける事は凄い事で、それはそれで相手を認めていく事になります。)


自分が負けているのに負けていないと思い続ける事は不幸な事です。もちろん努力で負けている分を補おうとする事も重要な事ですが、中にはどうやっても勝てない事もあります。自分が努力した末にそれでも勝てなかった人に対して素直に「おまえ凄いなー」と言える事は大事な事だと思います。そしてそれが人としての度量を拡げる事にもなると思います。

最近「勝ち組」「負け組」などとよく使われます、勝ちたがりの人が非常に多い気もします。本当に不幸なのは負けているのに素直にそれを受け入れられない人、相手を認められない人、負けを異常に嫌う人。
人が生きていれば当然相撲の稽古のように勝ったり負けたりです!そんなに勝ちに飢える必要もなければ、負けを毛嫌いする事もありません。
必要以上に勝ちを求める人は勝ったり負けたりの原理が分かっていない人、そんな事を求める時点で大きく負けているような気がします。

このブログは競馬の記事が主なので、ちょっと競馬に関する事を言うと、競馬も当然勝ったり負けたりです。(私は負けたり、負けたり、負けたり・・・・・・・勝ったりですが。)
毎週よく考えて馬券を買う以上、それは人情として勝ちたいのは当然です。しかし毎週勝ちたい、
特に負けは避けたいなどと考えるのは危険なことです。負けに対して寛容になれるかどうか・・・。大事な事だと思います。
負けを避けようなどと考えると予想自体がおかしくなります。どれが本命か分からない程の多頭数のボックス馬券を買ってみたり、本線から大きく外れる抑えの馬券を保険として買ってみたり、順番を付けて買うはずだった3連単の馬券をわざわざマルチ買いしたり、何だかんだ言って結局最後は一番人気の馬から流したり・・・・。
こんな風に負けを毛嫌いすると、長い目で見ればまず大きく負けます。

ちょっと話が逸れましたが、この勝ったり負けたりの考え方は非常に日本的な考えのような気がします。【※】

その勝ったり負けたり、負ける事に対して寛容になる事を教えてくれたのが奉納相撲・・。そして相撲はこの国の国技!国技とするに相応しいスポーツだと思います。

完全に負けたという気分にさせてくれる、またその事により相手を素直に認める事を教えてくれる相撲・・・・。結構人格形成時に大事なモノで、またこの国の処世術として大切な事を教えてくれたんじゃないかと思っています。

地域の同世代の者が共有してその者達の繋がりを深めていく手助けをしてくれる相撲・・・・。昔はあって今はないモノ・・・・。
社会が複雑になればそれだけ様々な事がシンプルには行かなくなり、価値観の相違などからゴタゴタが増えるのは仕方のない事ですが、子供の頃にお互いが相撲を取っていれば地域内のゴタゴタなんてあまりないんじゃないかな?なんて思ってしまいます。田舎者の発想ですが。

非常に単純なスポーツである相撲、そのシンプルさ故に勝ち負けが明確。道具のせいにする事もありません。裸一貫で勝負する以上、負けたら100%個人としての負け。この1番に限っては確実に相手が上。相手を認める以外になにものもありません。

これが分かり易く、また非常にさっぱりとしていて気に入ってます

最後に同じ裸一貫で勝負するスポーツ、
水泳について一言。
このスポーツも裸一貫の速さ比べで、本質的に勝負が明快であるはずですが、水着メーカーの技術が進歩し過ぎておかしな事になっています。
昔は女子はともかく、男子は小さな海パンだけでしたが、今は全身を覆うような競泳スーツを纏っています。着用している水着の性能差がタイム、勝敗に大きく影響してしまう・・・バカげた事です。競技者に同情します。
必死に鍛練した末に大会に出場し、水着の性能差で負けてしまう・・・・。とても負けた事を受け入れられないでしょう。先日、世界記録が取り消された日本の競技者もいました。

何のスポーツでもそうですが、イコールコンディションで競い合う事が望ましいと思っています。
相撲を経験した者から一言わせてもらえば、現代の水泳に対してこう言いたい!

「全員ふんどし一丁で正々堂々やれっ!」

衛生上無理でしょうが・・・・。(笑)


かなり長くなってしまいましたが、まだ書きたい事が残っています。続きは後日に。


奉納相撲【2】へはこちらから↓

http://tamarufight.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-2bbe.html

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