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宝塚記念の回顧その2 内田騎手 「初心」の積み重ね 地方出身騎手の先行競馬の質の高さ

宝塚はエイシンデピュティーの走りは勿論ですが、内田騎手の騎乗技術の高さが印象に残りました。
地方で経験と実績を積み重ね、騎手として円熟期を迎えた騎手がJRAに移籍し、活躍する事が増えました。この現象は今後も続くでしょう。
近年のJRAの競馬の負のスタイルを見ているとこの現象は当然の帰結で、この事について私なりの考えを書いてみたいと思います。

日本の競馬は他の国に比べて異質とも言える馬場の高速化、終いが物凄く斬れるサンデー産駒の登場などで競馬のスタイルが変わりました。後ろにいても終いを活かす競馬をすれば勝負になる。これは騎乗技術を向上させるという観点から見ると「停滞」を意味します。
最後にある急坂や長い直線を意識して道中脚を溜める事を重要視し、スローペースから直線だけの競馬も目につきます。溜めた脚を巧く直線の爆発力に移行出来れば後ろからでも「きれいな」競馬で勝つ事も出来ます。
しかしながら、これは停滞している競馬の世界で効果があるもので、先行した馬に乗る騎手が高い精度の先行競馬の技術をもっていた場合、割の悪い騎乗になります。
(競馬は決められた距離を一番早く走りぬけた馬が勝利馬になります。レースなので相手との駆け引きがありますが、馬の気性等に問題の無い場合、スタート後に意味無く位置を下げる事は自ら勝てる確率を下げているだけであり、ハマるかハマらないかの確率の悪い「ゲーム」をやっているだけでは?)


高い精度の先行競馬の技術を持つ騎手・・・・・・
これが海外から来た騎手であったり、地方競馬で「勝てる」騎手であったりします。(小回り、ダートの競馬場ゆえに先行する技術、道中距離的にも馬の体力的にもロスを最小限に抑える技術、終いをしっかり追う事が出来、馬を残す事が出来る技術。これらが備わらないと勝ち星を順調に増やせない。騎乗の王道とも言える技術を磨ける環境でキャリアを積んだ騎手。)
この人達が起爆剤になってJRAのレースがシビアなものになるのでは?

地方競馬のトップからJRA入りをした騎手は総じて高い精度の先行競馬の技術をもっており、特に最後しっかり追う技術と馬を残す技術が明らかに磨かれており、JRAの騎手と比べると見ていて分かるほどです。(JRAにもこの技術が高い騎手ももちろんいます!)

印象に残った高い精度の先行競馬の技術で勝ったレースを挙げると、最近では岩田騎手のジャパンカップでのアドマイヤムーン、今年の中山牝馬での柴山騎手のヤマニンメルベイユなどが思い浮かびます。
この高い先行競馬の技術を持った地方出身騎手の中でも安藤勝巳騎手は別の領域に達していると思っています。去年のダイワスカーレットの乗り方などは完璧で、いくら強い馬とはいえ他の騎手ではあそこまで確実に勝てたかどうか。
それ以上に印象的なのがダイワメジャー!この馬の騎乗は芸術の域のもので、他の騎手では間違いなくG1をあれほど取る事は出来なかったでしょう。先行して主導権を握り、レースを読み、まるで周りの馬の挙動が全て分かっている様に最後必要なだけ追ってきっちり勝つ!「完全に手のうちに入れている」なんて言葉ではヌルイくらいの完璧なものでした。
何かで読んだのですが、この安藤騎手の騎乗について世阿弥の「離見の見」を引き合いに出していた記事がありましたが、実に巧いたとえだと感心してしまいました。世阿弥は日本で、いや世界でも一芸を極めるという事において最高峰に達した人だと思いますが、安藤騎手はダイワメジャーの騎乗において「離見の見」を実践している様にさえ見えました。この安藤騎手のダイワメジャーの騎乗こそが先行競馬の最高峰で、また競馬を勝つという事に関して一番効率が良く、確率の高いものだと思います。またこの騎乗法により馬にかかる負担も少なく、ダイワメジャーが長らくマイル路線でトップに君臨できたという副産物までもたらしました。
只、安藤騎手で残念なのはJRAに来た時点ですでに騎手として高齢であった事です。

この安藤騎手を継ぐ者が岩田騎手であり、今回宝塚を勝った内田騎手でしょう。
内田騎手も大井でひたすらに先行競馬の技術を磨いた人で、しかもこの人は最初から大井のトップレベルにいた人ではなく、ステップを段階的に上げて行き頂点に登り詰めた人です。上記の世阿弥はこの様な言葉も残しています。
「初心忘るべからず」
この言葉は入学式などで何か勘違いして使っているのを聞きますが、一芸を極める過程において初心のまだまだ未熟な芸を覚えておけという事で、芸の進歩を比べる対象を残して置くというもの。その進歩が確認出来たら、その時が新しい「初心」。また次の段階でこの初心と進歩の度合いを比べる。その繰り返しが芸を極めるという事!!以前、内田騎手の中央移籍時のインタビューを聴きましたが、彼は知ってか知らずか世阿弥の言う「初心」を積み重ねて来た人でした!!!!

内田騎手は宝塚というビッグタイトルを取った事で良い馬も彼のもとに集まるでしょう。しかしながらJRAの場数を踏んでいない事から期待に応えられない事もあるでしょう。それでもなお「初心」を積み重ねられる人は確実に進歩しますし、魅力があります
宝塚を勝った今が新しい「初心」です。この積み重ねにより「離見の見」の領域に届く事があるかもしれません。

地方競馬でスタートで前に行き、道中馬の体力の消費を最小限に抑え、ゴール前しっかり追って上がりの掛かるレースで勝つということを数えきれないくらい繰り返してきた内田騎手がビッグタイトルを手にするのはこの様な舞台のこの様な馬だと思います。

予想の時に書いたこのくだりは我が記事ながら気にいってます。内田騎手は更にJRAの競馬で進化すると思いますが、今の時点でさえ宝塚を見て分かる通り日本のトップジョッキーがかすんでしまうくらい「追える」騎手です。小回りコース、上がりの掛かる馬場でのレースで前に行ける馬に騎乗した時などは馬を残す技術に期待してよい特注の騎手でしょう。

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コメント

タマルファイさん
こんにちは
レスありがとうございます♪

今回の記事も成程とうならされました

競馬は基本的に逃げ・先行有利!!

それが昔は当たり前の常識だったはずが
サンデーの登場で本来、不利のハズの
後方一気が当たり前になったのがそもそも
非常識な出来事なんですね(驚)

私は約10年前に競馬を始めたので既に
サンデー旋風が吹き荒れており後方一気の
競馬の方が常道と勘違いしてました(悲)

既にサンデーは亡くなり、サンデー産駒ほど
瞬発力が秀でた馬は少なくなったので
今後は先行有利な流れに帰結していくのは
必然でしょう

今後、JRAのトップ騎手達はその事に早く
適応できた騎手が活躍していくのでしょうね

武豊はまだダメっぽいですが(笑)
てか引退まで今のスタイルを貫いて欲しい

人気はあちら(武豊)
勝利はこちら(前に行ける騎手)

でおいしいオッズにありつけますから(笑)

こんばんは馬方歳三さん。
コメント本当に嬉しいです。
歳三さんと競馬デビューは同じくらいの時期ですね。それまで競馬は全く興味がなかったのですが、今は亡き高崎競馬に友人と行った事がきっかけでした。そこには競馬の原点がありました。いかに好位に付け、いかに馬を残すか。スタートしてのんきに馬を下げるなんてありえません!!馬の息づかい分かる程のすぐそばでゴール前の踏ん張り合いをしている馬が見れる事が衝撃的なほどリアルでした。
シビアなレースとは裏腹にのんびり出来るいい競馬場でしたよ!
住んでいる場所は新撰組副長○方歳三の出身地、武蔵国(笑)ですが何人かで「金出し合って馬券買って勝ったら帰り豪遊ツアー」という事で何度も通いました。(豪遊出来るほど勝った事はありませんでしたが・・・)
その後JRAの競馬にも興味を持ちましたが、競馬の全てにおいて数段レベルが高い事は間違い無いのですが、何か「のんき」なレースをしている様な印象がありました。

今後、精度の高い先行競馬の技術を持っている騎手(地方出身騎手や外国人騎手)にサンデー世代のJRA騎手がやられる事は増えるでしょうね。
歳三さんこれからの時期、小回りローカルの時期がチャンスですよ!!!!時計の掛かる函館、札幌はもちろん馬場が悪化しているっぽい福島などが絶好の狙い目かと。本命が重なってお互いビッグヒット!なんて事になったら嬉しいですね!

武騎手は今後厳しい戦いを強いられそうですね。サンデーの猛威真っ只中台頭してきた騎手ですからね。このあたりについては去年の11月5日のアルゼンチン共和国杯の回顧で書いていますのでもしよかったら見てやって下さい。

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